バリ島の言語事情について:バリ島で英語は通じるのか?

バリ島の言語について

先日、ある生徒さんからバリ島の言語事情について質問をいただきました。1週間ほど旅行で滞在する予定とのことでした。

「バリ島に滞在するなら、インドネシア語を話せた方が良いのでしょうか?」という質問でしたが、結論から言うと、インドネシア語ができなくても問題ありません

英語が話せれば、1週間程度の滞在で特に困ることはないでしょう。よほど辺鄙な地域に行かない限り、英語で十分です。

バリ島は観光地として非常に有名ですが、現地の言語事情については意外と知られていないようです。

なお、筆者はインドネシアに約4年間駐在しており、バリ島にも頻繁に訪れていたため、現地の状況にある程度精通しています。

このブログでは、バリ島とインドネシア全体の言語事情についてまとめました。インドネシアという国を理解することで、バリ島の姿がより鮮明に見えてくるため、インドネシア全体の情報も含めています。

このブログは以下のような方に向けて書かれています。

・バリ島およびインドネシアの言語事情に興味がある方

・バリ島およびインドネシアの基本情報を知りたい方

・バリ島へ旅行を予定している方

この記事を読むことで、バリ島やインドネシアに対する理解が深まり、より豊かな旅行を楽しんでいただければ幸いです。

インドネシアについて

バリ島をより深く知るために、まずインドネシアという国について少し解説します。

インドネシアは多民族国家

バリ島の言語について語る際には民族の違いについて知る必要がある。各民族を色分けした地図(Wikipedia, Gunawan Kartapranata, CC BY-SA 3.0)

インドネシアは、バリ島を含む17,000以上の島々からなる島国です。ちなみに日本は約14,000の島から成り立っています。それと比べても、インドネシアの島の数が多いことがわかります。

これらの島々には様々な民族が暮らしており、その数は300以上にもなります。そのため、インドネシアには日本とは異なり、非常に多くの言語が存在します。言語の数は700以上あると言われています。

インドネシア語の役割

これほど多くの言語が日常的に使用されているインドネシアでは、民族間で言語が異なると意思疎通が困難になります。その問題を解決するために、「インドネシア語」が登場しました。

インドネシア語は、"Bahasa Indonesia"(バハサ・インドネシア)と呼ばれます。"Bahasa"は言語を意味し、インドネシア語は国の公用語として、各民族間のコミュニケーションを円滑にする役割を担っています。

インドネシア人はマルチリンガル

こうした状況から、インドネシアの多くの人々はマルチリンガルです。複数の言語を使いこなすことが一般的です。

ちなみに、各民族にとっての第一言語は、その民族の言語です。例えば、ジャワ人ならジャワ語、スンダ人ならスンダ語が母語となります。そして、多くの人々にとって、公用語であるインドネシア語は後から学ぶ第二言語です。

インドネシア語は若い言語

インドネシア語が公用語として普及し始めたのは、インドネシアがオランダから独立してからのことです。インドネシアはもともとオランダの植民地でしたが、1945年に独立しました。その際、憲法でインドネシア語が「国語」として定められました。

それ以降、学校教育でインドネシア語が本格的に導入されました。インドネシア語の基となる言語は古くから存在していましたが、国語としてのインドネシア語はまだ1世紀にも満たない若い言語です。

インドネシアの人口は約2億7,000万人とされていますが、インドネシア語を母語とする人はまだ全体の1割程度にすぎません。

インドネシアで英語は通じるのか?

さて、インドネシア全体で英語が通じるかどうかについてですが、残念ながら英語はあまり通じません。観光地や都市部では英語を話せる人もいますが、基本的には英語は通じないと考えた方が良いでしょう。

そのため、最低限でも公用語であるインドネシア語を理解しておくと、より満足のいく生活が送れます。

バリ島について

続いて、バリ島についてみていきたいと思います。

バリ島の地理

バリ島の言語について説明している地図バリ島の位置(Wikipedia, TUBS, CC BY-SA 3.0)

バリ島はインドネシアの東部に位置する島で、バリ州に属しています。バリ島の他にも周辺の小さな島々がこの州に含まれます。

バリ島の人口は約400万人で、面積は東京都の約2.5倍です。州都はバリ島のデンパサールにあります。ちなみに、インドネシアの首都はジャワ島にあるジャカルタです。

バリ島の民族と宗教

バリ島の民族構成は、約89%が「バリ人」です。バリ人の母語はバリ語で、公用語であるインドネシア語とは異なる言語です。

インドネシア全体では約86%の国民がイスラム教を信仰していますが、バリ人の90%以上はヒンドゥー教を信仰しています。バリ島では、インドから伝わったヒンドゥー教が土着の風習と融合し、「バリ・ヒンドゥー」という独自の形で信仰されています。

バリ島の経済

バリ島の経済は主に観光業に依存しており、バリ州内の総生産高の約40%が観光サービス業から成り立っています。次に大きな割合を占めるのは農林漁業で、約20%です。

このデータからも、バリ島がいかに観光に依存しているかがわかります。

バリ島の言語事情

英語は通じるのか?

バリ島では、他のインドネシアの地域と異なり、英語が広く通じます。バリ島は観光業に大きく依存しており、各国から多くの観光客を受け入れています。そのため、観光業に従事する多くの島民は、専門学校やボランティア団体で英語を学び、その習得に励んでいます。

観光客の多くはオーストラリア人で、その次に多いのがインド人です。こうした背景から、観光業に携わる人々にとって英語を習得することは大きなアドバンテージとなっています。

実際、バリ島では多くの人が英語を話しますが、そのレベルはさまざまです。流暢に話す人もいれば、カタコトで意思疎通ができる人もいます。

日本語が通じる?

実は、一部の島民が日本語を話すことができます。これは、2000年代初頭までバリ島を訪れる観光客の国別トップが日本だったことが影響しています。そのため、日本語を話せるガイドやタクシー運転手に出会うことがあります。

また、道端で「日本人ですか?」と日本語で話しかけてくる地元の人に出会うこともあります。しかし、2013年頃からオーストラリアが日本に代わって観光客のトップとなり、現在では日本人観光客は減少していると言われています。

バリ人はマルチリンガル

バリ人は、母語であるバリ語、自国の公用語であるインドネシア語、そして外国語である英語を使いこなす、マルチリンガルな生活を送っています。

バリ島にはジャワ島やスラウェシ島、フローレス島などからの出稼ぎ労働者も多く、彼らとはバリ語では通じないため、インドネシア語がコミュニケーションの手段として役立っています。

バリ島でインドネシア語、バリ語は必要か?

これらの言語が必ずしも必要というわけではありませんが、露天商やコンビニの店員、タクシー運転手など、英語が得意でない人もいます。しかし、"This." や "How much?" などの簡単な英語で十分に通じます。

流暢な英語でなくても、カタコトの英語で意思疎通が可能です。そのため、高い英語力がなくても、バリ島での滞在を十分に楽しむことができます。

旅行で役立つインドネシア語

最後に、バリ島で役立つインドネシア語をいくつか紹介します。基本的に英語で問題ありませんが、ちょっとしたあいさつをインドネシア語で言うと、現地の人々に喜ばれることがあります。

バリ語で言えればさらに良いですが、インドネシア語でも英語より心が通いやすいでしょう。

おはようございます、こんにちは、こんばんは

おはようございます

「おはようございます」は、

"Selamat pagi"(スラマット パギ)

と言います。

"Selamat"は「無事な、安全な」という意味があり、"Pagi"は「朝」を意味します。

こんにちは

「こんにちは」には時間帯に応じて2つの表現があります。

午前10時~16時頃には、

"Selamat siang"(スラマット シアン)

を使います。

"siang"は「昼」を意味します。

16時~18時の夕方には、

"Selamat sore"(スラマット ソレ)

を使います。

"sore"は「夕方」の意味です。

こんばんは

「こんばんは」は、

"Selamat malam"(スラマット マラム)

と言います。

"malam"は「夜」を意味します。

お元気ですか?

「お元気ですか?」はインドネシア語で、

"Apa Kabar?"(アパ カバール)

と言います。

"Apa"は「何」、"kabar"は「便り、ニュース」という意味。

これで「お元気ですか?」という慣用表現になります。

ホテルのスタッフなどに、

"Selamat pagi! Apa kabar?"(おはよう!元気?)

と言うと、喜んで答えてくれるでしょう。

元気です

「お元気ですか?」と聞かれたら、

"Baik baik saja"(バイ バイ サジャ)

と答えましょう。

"Baik"は「良い、元気」という意味で、"saja"は「特に問題なく」といった意味合いです。

短縮して"Baik"だけでも十分に伝わります。

ありがとう

「ありがとう」はインドネシア語で、

"Terima kasih"(トゥリマ カシ)

と言います。

さらに感謝の気持ちを強調したいときは、文末に"banyak"(バニャ)をつけて、

"Terima kasih banyak"(トゥリマ カシ バニャ)

と言うと、「本当にありがとうございます」という意味になります。

"banyak"は「たくさんの、多くの」という意味です。

どういたしまして

「どういたしまして」は、

"Sama sama"(サマ サマ)

と言います。

非常に簡単な表現です。

ごめんなさい

「ごめんなさい」は、

"Maaf"(マアフ)

という表現を使います。

"Maaf"だけで「ごめんなさい」と伝えることができます。

さようなら、またね

「さようなら」や「またね」はインドネシア語で、

"Sampai Jumpa lagi"(サンパイ ジュンパ ラギ)

と言います。

"Sampai"は「~まで」、"Jumpa"は「会う」、"lagi"は「再び」を意味し、

「再び会うまで」=「さようなら」「またね」

という意味になります。

短縮して"Sampai Jumpa"とだけ言う人も多いです。

まとめ

インドネシアは、多民族・多言語の国家です。各民族の言語がまず第一言語となりますが、他の民族と共存・団結するために公用語としてインドネシア語が存在します。このような背景から、インドネシアの人々は多言語を話せる傾向にあります。

特に観光業が盛んなバリ島では、他国の人々とのコミュニケーションが必要となり、その手段として英語、日本語、あるいは中国語が用いられることがあります。そのため、バリ島の人々の中には3~4言語を話せる人が多く見られます。日本人の私たちにとって、英語だけでも習得が難しいと感じる中で、多言語を操るバリの人々には驚かされます。

バリ島を訪れる際は、特に言語の心配をせず、その魅力を存分に楽しんでください。このブログが、バリ島やインドネシアについて新たな発見を提供できたなら幸いです。

参考文献

・外務省 インドネシア共和国

・東京外国語大学 インドネシア語データ

・インドネシア総合研究所

▷ 旅行英会話専門のオンライン教室「英語壱番」ホームへ

投稿者プロフィール

英語壱番
英語壱番旅行英会話のオンライン教室
英語壱番(Eigo Ichiban)は、初心者を対象とした『旅行英会話』専門の教室です。

レッスンはオンラインでマンツーマン。

旅好きな「日本人」のプロ講師が、海外旅行で役立つ英会話と、旅先のちょっとした豆知識をアドバイスいたします。

レッスン内容は...

・ロールプレイ(シーン別英会話)
・瞬間英作文(口頭英作文)
・フリートーク

で構成され、生徒個々人にカスタマイズしたオリジナル教材にてアウトプットを徹底して行います。

・旅先で現地の人や、他国の旅人と交流を深めたい方
・挨拶程度の英語はできるが、深い会話ができない方
・英会話スクールに通っているが、伸び悩んでいる方
・独学をしているが勉強法が分からず、困っている方
・外国人先生の英語だけのレッスンが難しいと感じる方

是非お気軽にお問合せをください!

旅先で困らない英語力を身につけ、海外旅行をより充実させましょう!

▽ 教室ホームページは以下をクリックしてください