「英語が話せなくて悔しい」英会話の初心者が始めるべき学習法
当教室は初心者専門の英会話教室です。体験レッスンの前に無料カウンセリングを行い、「なぜ英語を学びたいのか」を詳しく伺っています。その中で、英語が話せなくて悔しい思いをされた生徒さんに出会うことがよくあります。例えば、
・家族と海外旅行に行った際、全く話せなくて恥ずかしい思いをした
・旅行中にトラブルが発生し返金を求めたが、うまく説明できず泣き寝入りせざるを得なかった
・旅先で現地の方から英語で話しかけられたが、うまく返答できず交流できなかった
といった経験が挙げられます。このような悔しい思いを二度としないために、英語学習に本腰を入れることは非常に素晴らしいことです。
一方で、カウンセリングの際に「英語学習に本気で取り組みたいが、何から始めればよいのか分からない」という質問も多くいただきます。
そこで今回のブログでは、英語で悔しい思いをした経験を持ち、学習に本気で取り組もうとしている方に向けて、まず何から始めるべきかを解説していきたいと思います。
まずは英文法から
結論から申し上げますと、まずは英文法の学習を始めてください。ただし、大学受験レベルの英文法ではなく、中学1年から中学3年で学ぶ基礎的な英文法を復習しましょう。英文法を復習すべき理由としては以下の通りです。
英文法を知らないと、英作文ができないから
英語のスピーキングとは、頭に浮かんだ日本語を瞬時に英訳して発言する作業です。つまり、頭の中で瞬時に英作文を行っているのです。この際に重要なのが英文法です。英文法は、例えるなら建築でいう「工法」に相当します。どんなに素晴らしい建築材料を使っても、工法に従わなければ建物の構造が乱れ、崩れてしまう可能性があります。英語のスピーキングも同じで、いくら単語や熟語を知っていても、英文法を知らなければ文の語順が乱れたり、時制(過去・現在・未来)が不明確になったりして、相手に誤解を与え、意思疎通がうまくいかなくなります。
英文法を知らないと、聞き取れないから
英文法を把握していないと、英語の聞き取りもうまくできません。例えば、以下の日常会話の一文を読んでみてください。
"She told me that the book that you recommended was really good."
いかがでしょうか。スムーズに読めて、一度で意味が理解できましたか?ちなみに、この一文には"that"が2回使われていますが、それぞれの"that"の違いが分かりますでしょうか?また、その違いを説明できますか?
もし、この文をすぐに理解できた方は、このブログを読む必要はないかもしれません。しかし、何度読んでも自信を持って理解できなかった方は、ぜひ読み進めてください。
この文章は、日常会話の中で使われた何気ない一文です。このような文章が実際の会話で出てくることがよくあります。ここでお伝えしたいのは、読んで一瞬で理解できない文章は、聞いても一瞬で理解することが難しいということです。"that"の違いが説明できない場合、この文章を理解することは難しいでしょう。文法を理解していないと、相手の言っていることが正確に把握できず、意思疎通がうまくいかない可能性が高くなります。以上のことから、スピーキングやリスニングの観点からも、英文法はコミュニケーションにおいて重要な要素となります。
大学受験レベルの英文法は不要
英文法について話をすると、よく大学受験で学ぶような高度な文法を思い浮かべる方が多いです。そのため、独学で英文法を学ぼうとする際に、400~500ページもあるような分厚い大学受験用の参考書を購入される方もいらっしゃいます。しかし、結論から申し上げると、そのような参考書を購入する必要はありません。大学受験用の参考書には、英会話ではほとんど使わないマニアックな文法や、細かすぎる文法事項が含まれており、英会話力を短期間で向上させるには効率的とは言えません。
英会話の能力を向上させたいのであれば、まずは薄い参考書で十分です。中学1年から中学3年の内容を網羅した参考書を選んでください。実際、英会話で使われる文法のほとんどは中学で学ぶ基礎的な英文法でカバーできます。もちろん、それ以外の文法が出てくることもありますが、その都度学習する方が効率的です。
当教室でおすすめしているのは、くもん出版の「SUPER STEP 中学英文法1~3年」という参考書です。ページ数も230ページ程度で大学受験用のものに比べて少なく、持ち運びにも便利です。中学1年から中学3年の内容がコンパクトにまとまっており、非常におすすめです。
英単語の習得も同時に進める
英文法と同様に、英単語の習得も非常に重要です。大学受験向けの単語帳を使うよりも、まずは中学1年から中学3年で学ぶ基本的な英単語を重点的に習得することをお勧めします。
ここでは、英単語を覚える際に注意することと、おすすめの教材を紹介します。
英単語を覚える際に注意すること
1. コロケーションを意識する
英単語を覚える際、単語をひたすら個別に暗記する方が多いですが、実際には英単語は特定の単語とセットで使われることが多いです。この特定の組み合わせを「コロケーション」と言います。コロケーションを無視して単語を覚えてしまうと、相手の言っていることが理解しづらかったり、自分の話す英語が不自然に聞こえることがあります。
例えば、「decision(決定)」という単語は、「make」とセットで使われ、「make a decision(決定を下す)」という表現になります。また、「bath(お風呂)」という単語は「take」と一緒に使い、「take a bath(お風呂に入る)」と言います。もしこれを「make a bath」と表現すると、非常に不自然に聞こえてしまいます。
このような理由から、英単語を覚える際には、どの単語とよく組み合わされるか、つまり「コロケーション」を意識して学習することをおすすめします。
2. 単語の語源を意識して覚える
単語の語源を意識しながら英単語を学習することで、効率的に覚えることができます。たとえば、「auto-」という接頭辞は「自己」や「自動」を意味します。これに関連する単語として、以下の例が挙げられます。
・automobile(自動車): 自動で動く車
・autograph(自筆の署名): 自分の名前を自分で書く署名
・automatic(自動的な): 自動で動作するもの
このように、「auto-」が「自己」や「自動」に関連することを知っていれば、他の単語の意味も推測しやすくなります。語源を理解することで、新しい単語の意味を予測しやすくなり、関連する語彙を効率的に覚えることができます。これにより、語彙力が飛躍的に向上し、実際の場面での応用力も高まります。
3. 文脈や文章の中で学ぶ
英単語を学ぶ際にもう一つ注意してほしい点は、必ず文脈や文章の中で学ぶことです。単語を長期的に記憶するには、単独で覚えるよりも文脈や文章の中で関連付けながら覚える方が効果的であるという研究結果があります。
例えば、「waste(無駄・浪費)」という単語。これを覚える際に、「waste = 無駄・浪費」と単独で覚えるのではなく、「It would be a waste of time to go there.(そこへ行くのは時間の無駄だろう)」という文章の中で意味を覚えると、より長く記憶に残ります。
また、「waste」は「be a waste of ~」という形(コロケーション)でよく使われます。文脈で覚えることで、単語の意味だけでなく、よく一緒に使われる単語も把握できます。
このように、単語を文脈の中で学習することで、より効率的かつ長期的に意味と使い方を頭に定着させることができます。なお、単語帳などにある文を丸ごと暗記する必要はなく、文章を読んで文意が理解できれば十分です。
この他に英単語を学習する際の注意点として、音読を取り入れて学習してください。音読をすることで、スペルと発音を結びつけながら覚えることができ、記憶に残りやすくなります。また、耳から単語を覚えることで、自然に文脈の中で単語を使う能力も養われます。
難しそうな単語帳は避ける
英単語の学習も、英文法と同様に、まずは中学レベルの基礎的な単語から始めましょう。いきなり3000や4000語が掲載された大学受験用の単語帳を使う必要はありません。当教室では、旺文社の「英単語ターゲット1200」をおすすめしています。この書籍には、日常会話でよく使われる単語がしっかりと網羅されています。
さらに、コロケーションが掲載されていたり、単語の使用例が文章で示されていたり、簡単な語源から派生語も紹介されているため、単語学習に必要な知識がコンパクトにまとめられています。また、音声もダウンロードできるので、発音の学習やリスニングの練習にも活用できます。まずはこの単語帳に掲載されている単語を見たり聞いたりした際に、すぐに意味が頭に浮かぶようにしておきましょう。
なお、「タゲ友」というアプリもありますが、こちらは単語を単独で覚える形式になっているため、筆者としては書籍を購入して学習することをおすすめします。
会話力を向上させるための発展学習
自分で文章を作ってみよう
ここまでお伝えしたように、中学レベルの英文法や英単語を学習し、ある程度の知識が身についてきたら、実際に自分で文章を作ってみましょう。日常会話で自分が言いそうなことを、現状の知識を使ってできる限り英文にしてみてください。
スピーキングは、瞬時に頭の中で英作文を行うことです。最初は紙に書き出す形でも構いませんので、英作文の練習を繰り返し行いましょう。この際、可能であれば作った英文を英語の得意な日本人講師やネイティブ講師に添削してもらうと良いでしょう。これにより、どのように表現するとより自然になるのか、自分の文章を見比べながら分析することができます。
そして、添削してもらった文章はそのままにせず、必ず何度も音読してください。音読することで、正しい知識を定着させるだけでなく、よく使う表現を耳から学ぶことでリスニング力の向上にもつながります。このように、地道なトレーニングではありますが、自分の知識で作文し、正しい文章に修正してもらい、それを分析して理解し、繰り返し音読するという一連のプロセスが、実は英会話能力を向上させるための近道なのです。
当教室における英文法・英単語の学び方
当教室は、初心者向けの英会話教室で、主に英語を学び直したい大人の方を対象としています。最初は英文法や英単語の習得に重点を置いていますが、中学校や高校で行われるような一方的なレクチャーや問題集を解かせるような授業は行いません。
初回の無料カウンセリングで、生徒さんがどのような目的で、どのようなシーンで英語を使いたいのかを丁寧にヒアリングし、それぞれに合わせたカスタマイズ教材を使ってレッスンを進めます。毎回、生徒さんが英語を使うシーンを想定した会話文を用意し、その中で実際に使える英単語や英文法を学べるよう工夫しています。
もちろん、英文法や英単語の使い方に関するレクチャーは行いますが、それは最小限にとどめ、むしろアウトプットを重視しています。レクチャーの後は、用意した日本語の文を生徒さんに口頭で英訳してもらい、実際の会話で英文法がどのように使われるのかを体験してもらいます。そして、次回のレッスンでも口頭英作文の復習を行います。
さらに、レッスンではフリートークを積極的に取り入れ、習った文法や単語を実際の会話で活用できるよう、講師が工夫して質問しながら英語でフリートークを進めています。このように、より実践的でアクティブなレッスンを通じて、自然に知識を身につけられるようにしています。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。このブログでは、英語が話せなくて悔しい思いをした方々に向けて、どのように学習を進めるべきかを解説しました。まずは、中学レベルの英文法や英単語を中心に学習することをおすすめします。
独学の場合、参考書は大学受験用の分厚く難しいものではなく、薄くて取り組みやすいテキストを選んでください。そうしないと、英会話に必要な知識を身につける前に、学習へのモチベーションが低下し、挫折してしまう可能性があります。ある程度学習が進んだら、日記などで実際の会話で使うような口語体で英作文をしてみましょう。可能であれば、英語の得意な方に添削してもらい、正しい文章を分析し、何度も音読することが効果的です。
またもし興味があれば、当教室のような英会話教室を活用することも検討頂けたらと思います。独学では会話の練習が難しいため、教室での学習を通じて、より実践的に英語を習得することができます。疑問に思った点もその場で質問できるため、独学よりも効率的に英語力を向上させることが可能です。
このブログが、皆さんの英語学習の励みになれば幸いです。
本稿でおすすめした参考書(リンク)
投稿者プロフィール
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幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は主に対面、オンラインの双方で英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級
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