【英文法】薄い参考書について
当教室は英会話の初心者に対し、マンツーマンで英語を教えている語学教室です。
入会を検討されている方から日々お問い合わせをいただく中で、「英文法は勉強した方が良いですか?」や「どのような参考書に取り組むべきですか?」という質問をよく受けます。
その際、英文法の勉強は必要だが、いきなり大学受験用などで使用される分厚い参考書に取り組むのは避けた方が良いとお伝えしています。
このような質問をしばしば頂くため、今回のブログでは、英会話の初心者がなぜ英文法に取り組む必要があるのか、また取り組むべき参考書やどのように英文法を勉強すべきかについて簡単にまとめました。
英会話の勉強を始めたばかりの初心者や、再度英語の勉強に挑戦する方にとって、参考になれば幸いです。
目次
大学受験用の分厚い文法書はおすすめしない
英語をやり直しで勉強する方には、分厚い英文法の参考書はおすすめしません。ここでいう分厚い英文法の参考書とは、1冊500ページを超えるものを指します。
例えば、大学受験でお馴染みの桐原書店の「Forest」や「Next Stage」がそれにあたります。大学受験で合格を狙うならば、これらの参考書でも問題ないでしょう。実際に筆者も高校時代には(学校の指定で)使用していました。
しかし、このブログを読んでいる皆さんの目下の目標は、受験合格ではないはずです。英会話の能力を伸ばし、海外の方と英語だけで意思疎通を図りたいと考えているでしょう。
その場合、つまり英会話の能力を伸ばす目的であれば、これらの教材を特に使う必要はありません。
シンプルに初心者にとって分量が多すぎる
500ページとなるとシンプルに分量が多すぎます。私も英会話の初心者だった頃に、当初は大学受験用の文法書を活用して勉強していました。最初は熱心に取り組んでいましたが、次第に「これいつになったら終わるんだろう…」と終わりの見えない戦いにモチベーションが削られ、1週間も経たないうちに挫折しました。
このような参考書には、会話でよく使用される文法も載っていますが、会話では使用頻度の少ない書き言葉の文法も多く含まれています。
初心者はまず会話でよく使われる基礎的な文法をしっかりと理解する必要があります。そして基礎的なことが理解できたら、徐々に内容を高度なものにしていくのがベターです。
このようにステップバイステップで少しずつ取り組む内容をレベルアップしていくのが、挫折しないコツです。
そもそも英文法を勉強する必要はあるのか?
さて、英文法の話題を出すと初心者の方から「英会話の能力の向上に英文法は必要なのか?」といった質問をしばしば受けます。
結論としては、英文法は勉強すべきです。英文法を理解していなければ、スピーキングやリスニングに影響が出ます。
ここではスピーキングに焦点を当て、なぜ英文法を勉強すべきか説明します。
スピーキングとは?
英会話におけるスピーキングとは何でしょうか?筆者が考えるに、スピーキングとは自分の言いたいこと(日本語)を瞬時に頭の中で英作文して、それを言葉として発言する行為です。
では、自分の言いたい日本語を瞬時に英訳するためには何が必要でしょうか。英単語や熟語も重要ですが、これらを知っているだけでは文章を形作ることはできません。材料は揃っていても、ちゃんとした家が建たないイメージです。
ちゃんとした家を建てるためには、適切な工法に基づいて材料を当てはめて建築する必要があります。スピーキングも同じです。ちゃんとした文法に基づいて、単語や熟語を当てはめて(頭の中で)作文する必要があります。
英文法は大げさかもしれませんが、建築でいうところの工法に近いものです。ちゃんと英文法を理解していないと、正しい文を頭の中で組み立てることができず、文意がおかしくなり、相手に誤解や混乱を与える可能性があるのです。
初心者は何から取り組むべきか?
先述したように、英文法の勉強は英会話の能力を向上させる上で必要です。しかし、初心者の方がいきなり分厚い参考書に手を出すと、私のように数日で挫折しかねません。
では、初心者の方は何から取り組めば良いのでしょうか。
結論として、初心者の方はまず中学1年~3年で学ぶ英文法をしっかり理解することから始めてください。後述しますが、実はこの中学英文法でだいたいの意思疎通はできるようになります。
「え…中学英文法なんて簡単じゃん」と思った方、侮ってはいけません。
中学英文法で英作文できますか?
そもそもですが、中学校で学ぶ英文法を活用して英作文できるでしょうか。試しに、以下の日本語を英訳してみてください。
1. 昨晩から雨が降り続いています(今も降っている)。
2. 彼は私より流暢に英語を話します。
3. 最近暑くなってきましたね。
4. それは私が思っていたのよりも小さかったです。
5. 日本語話せる人いませんか?
いかがでしょうか?どれも日常会話で出てきそうな文です。上記の文章はすべて、中学で学ぶ英文法で作文することが可能です。
これらの問題が難なく解ける方は、特にこのブログを読む必要はないでしょう。難しいと思った方は、引き続き目を通していただければと思います。
では、これらの英作文が難しいと感じるのはなぜでしょうか。結論としては、英文法をしっかりと理解していないか、細かい部分の理解が曖昧になっている可能性があります。
ちなみに、「文法の穴埋め・選択式問題が解ける」ことは、必ずしも理解を意味しません。なんとなくの知識でも、消去法や勘で解けることがあるためです。
実際に学んだ英文法を活用して、上記のような基本的な英作文ができるかどうかが、文法理解の把握に役立つのです。
まずは中学レベルの英文法知識を身につける
これらの英作文が難しく感じた方は、中学レベルの英文法を体系的に見直すことをおすすめします。基本的な内容を網羅している薄い英文法書で問題ありません。
そこに掲載されている英文法を活用し、自分の言いたいことを英作文できるようになるまで勉強してください。理想としては、そこに掲載されている英文法を他人に説明できるくらいに読み込むことが本来の「理解」です。
間違っても大学受験で使用するような分厚い参考書を購入し取り組む必要はありません。基礎的な知識をまずは重点的に身につけることが目的なので、それを網羅する薄い参考書で十分です。
当教室のおすすめの参考書
おすすめのテキスト
当教室で生徒さんからおすすめの参考書について質問があった時に紹介しているのは、くもん出版の「SUPER STEP 中学英文法1~3年」です。
ページ数は索引を除けば234ページで、上述した大学受験用参考書の半分です。
"where"や"why"などの関係副詞の説明に関しては若干補足が必要ですが、それ以外は英会話のスピーキング力を伸ばす上で十分な知識を得られます。大学受験で使用する分厚い参考書とは違い、重くもなくA5サイズとコンパクトなので持ち運びやすいです。手に取って読むモチベーションが湧きやすいのも良い点です。
また、この参考書の良い点として、「ステップ・バイ・ステップ」に少しずつ基礎文法を学び、表現力が徐々に豊かになっていくところだと感じます。例えば、
① メアリーは女の子です
⇒ "Mary is a girl."
② メアリーは親切な女の子です
⇒ "Mary is a kind girl."
③ メアリーはとても親切な女の子です
⇒ "Mary is a very kind girl."
や、
① 雨が降っています
⇒ "It is raining."
② 雨が2時間降り続けています
⇒ "It has been raining for 2 hours."
③ 今朝から雨が降り続けています
⇒ "It has been raining since this morning."
といった形で、基本の文を基にステップバイステップで文法や修飾を変えたりするとどうなるか対比しながら学習できるようになっています。
これにより、各文法を関連付けて学習できるので、理解しやすく、頭に定着させやすいです。また各文法項目について、どのようなシーンで、どのような形で使われるのかといった説明や、副詞などの修飾を付ける際にどこに置くべきかについても、過不足なく解説されており、とてもよくまとまっています。
どうしても問題集が解きたい方へ
さて、先ほど紹介した「SUPER STEP 中学英文法1~3年」は解説系のテキストであり、穴埋め問題などは載っていません。
もしご自身の文法理解を穴埋め問題や選択式問題などで確認したい場合、この姉妹本である「中学英文法問題集 (スーパーステップ)」に取り組むのがおすすめです。
もう一つのおすすめは、安河内哲也氏の「英文法レベル別問題集」(ナガセ出版)です。このレベル別問題集は超基礎編から大学受験用の難関編まで計6冊から構成されますが、このうち「超基礎編(中1~中3レベル)」と「基礎編(中1~高1レベル)」の2冊に取り組むので十分です。
余裕があれば「標準編(高1~高2レベル)」も取り組むと良いと思いますが、初心者が英会話に必要な英文法を身につけるには、まずは「超基礎編」と「基礎編」をしっかりとやり込んでください。
このレベル別問題集をおすすめする理由は、以下の3点です。
1:1冊のページ数が120ページほどで分厚くなく、A5サイズでコンパクトなため持ち運びしやすいこと。
2:薄いため1冊を解き終わるのに膨大な時間がかからず、達成感を得やすいこと。
3:選択問題や並び替え問題が豊富に掲載されており、各問題に対して過不足のない解説がしっかり記載されていること。
となります。
ちなみに筆者も英会話の能力を向上させる際にしっかり取り組んだのは、このレベル別問題集の「超基礎編」と「基礎編」の2冊です。
「標準編」は途中まで取り組んでいましたが、「超基礎編」と「基礎編」の知識でほとんどのことは十分に対応できました。英会話の初心者でどうしても問題集にも取り組みたいという方は、ぜひ検討してみてください。
英文法の本来の勉強法
文法を使って自分なりに英作文することが大切
ここまでおすすめの英文法の解説書や問題集を紹介してきました。筆者はかつて英語力を向上させる際、解説書を読み込み、問題集をひたすら解くことをしていました。
しかし、英語を含めインドネシア語、マレー語、中国語(普通話)と様々な言語を習得する中で気づいたのですが、スピーキング力を高めるうえでベターな方法は、解説書で文法をある程度理解したら、その文法を使って自分なりに会話で使いそうな文を作ってみることです。そして、その文章を英語が得意な日本人やネイティブに添削してもらいます。
添削後、ノートに日本語とその添削してもらった英文を書き、一問一答方式、つまり瞬間英作文の教材を自分で作り込んでいきます。例えば、ノートの表面には日本語を書き、裏面には英語を書きます。日本語を見て、文法を意識しながら英文を頭の中で作ります。
ノートの裏面を見て答え合わせをし、間違いがなければその文章を音読します。これを日本語を見た瞬間に英訳できるまで繰り返します。
地味な方法ですが、これがスピーキングに必要な文章を組み立てる能力を向上させる、効率的かつ効果的な方法でした。
当教室では英文法をどのように勉強するか
さて、当教室は英会話の初心者専門の教室です。必要であれば中学の基礎から英文法のレクチャーを行っています。レクチャーの流れとしては、先述したくもん出版の「SUPER STEP 中学英文法1~3年」に近い内容で講義を行います。
違いとしては、提示する例文をより日常会話で使えそうなものにし、生徒が少しでも復習するモチベーションが湧くよう工夫しています。
文法のレクチャーが終わると、実際にその文法を使用して瞬間英作文(日本語を見て瞬時に口頭で英訳する)を実施します。この瞬間英作文で出てくる文も、生徒が実際に日常生活で使いそうな文章にアレンジしています。
さらに、その文法を使ってフリートークを実施し、実践力を磨きます。フリートークでの言い間違いや改善点はレッスン後にフィードバックとして生徒に共有し、復習してもらいます。
次回のレッスンでは、その英文法が頭に定着しているか確認するため、レッスンの冒頭で瞬間英作文の復習を行います。また、フリートークで同じ質問をして、その文法を使う機会を意図的に作るようにしています。
このように、より実践に近い形で自然と英文法が身につくようにレッスンを構成しています。
まとめ
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。今回は英会話の初心者におすすめの英文法参考書というテーマで記事を記載しました。
書店の語学コーナーに行くと「大人のやり直し英語」として様々なテキストが置かれています。その中で、大学受験でよく使われる分厚いテキストがPOP広告と共に配置されているのをよく目にします。しかし、上述したように、まずは初心者の方には薄くて手に取りやすい中学の基礎が学べる参考書から取り組んでいただくのが、英会話の能力を向上させる上で効率的で挫折しにくいです。
もし参考書を使った独学が難しいようであれば、当教室のような語学スクールを頼るのもおすすめです。当教室では、より実践的な形で会話に必要な英文法を学ぶことが可能です。
もし興味がございましたら、ぜひお問い合わせいただけたらと思います。
本稿でおすすめした参考書(リンク)
・くもん出版「スーパーステップ 中学英文法」
・くもん出版「スーパーステップ 中学英文法問題集」
・ナガセ出版(東進ブックス)「英文法レベル別問題集1 超基礎編」
・ナガセ出版(東進ブックス)「英文法レベル別問題集2 初級編」
投稿者プロフィール
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幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は主に対面、オンラインの双方で英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級
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