英検®とTOEIC®どっちが先?話せる力のために社会人が選ぶべき最適解とは?

多くの社会人が英語学習を始めようとした時、「英検®とTOEIC®、どちらを先に受けるべきだろう?」という疑問に直面します。

世間ではTOEIC®が有名な一方で、学生時代に馴染みのあった英検®も気になるところでしょう。特に「将来的に英語を話せるようになりたい」と考える英会話初心者の方にとってこの最初の試験選びは、今後の学習の方向性を決める重要な一歩です。

この記事では、結論として「社会人の英会話初心者には、まず英検®から始めること」が最適解である理由を、5つのポイントから丁寧に解説します。あなたの英語学習が、「話せる力」に着実に繋がるための、確かな道筋を案内します。

なぜ英会話初心者には「英検®」が最適解なのか?

社会人になると「TOEIC®のスコアが大事」という声をよく聞きますよね。最初からTOEIC®を目指すべきだと考える方も多いでしょう。しかし英語の基礎を固め、4技能をバランスよく伸ばす点では、英検®の方が学習効果を実感しやすいのです。

ここでは、英会話初心者の社会人がまず英検®に取り組むべき、5つの具体的な理由を詳しく見ていきましょう。

理由①レベル別設定で「現在地と目標」が明確になる

英語学習を継続する上で大切なのは、自分の現在地を正確に把握し、達成可能な目標を設定することです。英検®はこの点でとても優れています。

  • 段階的なレベル設定
    5級(中学初級)から1級(大学上級)まで、自分の実力に合った級から無理なくスタートできます。
  • 明確な目標設定
    「次は準2級!」といった具体的な目標が立てやすく、学習のロードマップが描きやすいです。これにより、モチベーションを維持しやすくなります。

TOEIC®のスコア制では「現在のスコアが400点」と言われても、次の目標がイメージしにくいことがあります。一方、英検®では「まず中学レベルの3級合格」のように、目指すべきゴールが明確なため、学習計画が立てやすいのです。

理由②学習内容が明確で「やるべきこと」に迷わない

目標が定まっても、「具体的に何を勉強すべきか」が分からなければ、学習は進みません。英検®は、「この級に合格するためには、この単語帳とこの問題集をやり込めばいい」という学習の型が確立されています。

そのため、対策が非常に立てやすく迷わずに学習に集中できるのです。書店に行けば、「英検®〇級 過去6回全問題集」「英検®〇級 でる順パス単」といったように、級別の専用教材が豊富に揃っています

理由③「4技能」を鍛えられ「話せる力」に直結する

最終的に「英語を話せるようになりたい」という目標があるなら、この理由が最も重要かもしれません。英検®は、「読む・聞く・話す・書く」の4つの技能をバランスよく測定するように設計されています(※3級以上で4技能測定)。

技能 英検® (3級以上) TOEIC®L&R
読む
聞く
話す ×
書く ×

 

特に二次試験でスピーキングが必須のため、学習段階から「話す」ことを強く意識できます。また、ライティング対策で自分の意見を論理的に表現する力も養われ、これらアウトプットの練習が「話せる力」の土台作りに直結します。

理由④明確な「合否」で達成感を得やすく、継続しやすい

学習を続ける上で、小さな成功体験を積み重ねることは非常に大切です。これはどの記事でもよく言われることですよね。しかしこれには心理学的な裏付けがあるのです。

目標達成理論…『明確で達成可能な目標』は、学習者の内発的動機づけを高めるとされています。英検®の「〇級合格」という目標は、この条件を満たしています。合格という具体的な結果は、自己効力感を育み、これが学習意欲の源となるのです。

 

一方、TOEIC®のスコア制は成果が数値で示されるため、「どこまで行けば達成なのか」という区切りが見えにくい側面があります。

もちろんスコアアップも嬉しいものですが、英検®の「合格」という成功体験は、より強い達成感と自信をもたらします。この経験こそが、「次は上の級へ」と挑戦するための強力なモチベーションとなるのです。

理由⑤「幅広い語彙力」が身につき、応用力が伸びる

TOEIC®はビジネスシーンに関連する問題が中心ですが、英検®

  • 日常会話
  • 科学
  • 環境問題
  • 歴史
  • 教育

など、非常に幅広いテーマから出題されます。

一見、ビジネス英語から遠く思えるかもしれませんが、これが総合的な英語力を高める上で役立ちます。それにより、偏りのない応用力の高い読解力や語彙力が身につくのです。

 このような土台があってこそ、後に特定の分野を学ぶ際にも、スムーズに知識を吸収できるようになるのです。

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TOEIC® リーディング&リスニングはなぜ社会人初心者におすすめしにくいのか?

ここまで英検®のメリットを見てきましたが、逆にTOEIC®はなぜ社会人初心者の最初のステップとしておすすめしにくいのでしょうか。

それは、TOEIC®が純粋な「英語の基礎力」だけを測る試験ではないからです。むしろ、「英語を使って、いかに速く正確に情報を処理できるか」という、情報処理能力を測る側面が強い試験なのです。

大量の英文を処理する「スピード」が求められる

TOEIC®リーディング&リスニングテストを初めて受験した人の多くが口にするのが、「時間が足りなかった」という感想です。この試験は、英語力に加えて、高い集中力とスピードが求められます。

  • リスニングセクション: 約45分間で100問。会話やアナウンスが一度しか放送されないため、瞬時に内容を理解し、判断する必要があります。
  • リーディングセクション: 75分間で100問。文法問題から長文読解まで、膨大な量の英文を読み解かなければなりません。

このように、TOEIC®はまさに時間との戦いです。英語の基礎が固まっていない初心者が挑戦すると、一問一問に時間がかかりすぎてしまいます。
そして最後まで問題を解ききれないまま終わってしまう可能性が非常に高いのです。

スコアが高くても「話せる」とは限らない

「話せるようになりたい」という目標を持つ方にとって、知っておくべき最も重要な点がこれです。
一般的に「TOEIC
®」と呼ばれるリーディング&リスニングテストでは、測定できる技能に偏りがあります。

測れる技能(インプット) 測れない技能(アウトプット)
聞く力 (Listening) 話す力 (Speaking)
読む力 (Reading) 書く力 (Writing)

 

ご覧の通り、このテストは英語を「受け取る力」を測るものです。そして英語を「発信する力」は測定範囲外です。そのため、「TOEIC®スコアは高いのに話せない」という状態が起こり得ます。

高いインプット能力は会話の土台ですが、それだけではアウトプット能力は育ちません。「話せる力」を伸ばしたい初心者にとって、このテストだけを目標にすると、本来の目的とのズレが生じやすくなるのです。

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TOEIC®スコアも必要な社会人への具体的な学習ロードマップ

「それでも会社でTOEIC®スコアが必要」という方も多いでしょう。そのような方にこそ、まず英検®で土台を築くことが、結果的にTOEIC®高スコアへの近道となります。

まずは「英検®2級」の合格を最初のゴールに設定する

具体的な最初のゴールとして、「英検®2級」の合格をおすすめします。英検®2級は「高校卒業程度」の英語力が問われ、社会人に必要な英語力の確かな土台となります。

このレベルをクリアできれば、TOEIC®の内容を理解するための

・基礎的な読解力
・聴解力
・文法
・語彙

の土台が身についている状態です。この土台があってこそ、TOEIC®の学習に移行でき、600点以上も現実的な目標になります。

英検®で土台を築き、TOEIC®で実践力を測る

最も効率的な学習の順番は、

①英検®で基礎力と4技能を固める

②TOEIC®でビジネス英語の運用力とスピード

を鍛える

という流れです。

基礎がないままTOEIC®のテクニックに走っても、スコアはすぐに頭打ちになります。なぜなら、そもそも読めない単語や理解できない文法が多すぎるからです。

まずは英検®でしっかりと英語力の土台を築きましょう。それがTOEIC®ハイスコアへの最も確実な道筋なのです。

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まとめ|「話せる力」を育む最初のステップとして、まず英検®から

本記事では、社会人の英会話初心者がまず英検®から始めるべき理由を解説しました。話せる力を含む英語力を身につけたいなら、英検®2級を目標にすることがおススメです。

4技能をバランスよく鍛えられる英検®は、あなたの学習の確かな道しるべとなります。そこで築いた土台があれば、その後のTOEIC®挑戦も、より有意義なものになるはずです。
この記事が、あなたの英語学習の第一歩を力強く後押しできれば幸いです。

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投稿者プロフィール

Tommy
Tommy英語壱番 代表
幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は対面、オンラインの双方にて英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級