英会話に文法はいらないのか?
「仕事で海外の方と円滑にコミュニケーションをとりたい」
「海外旅行をした際に現地の人と英語で深い会話をしたい」
「近いうちに海外留学をしたい」・・・
などなど、皆さま様々な目標をもって当教室へお問い合わせをいただきます。
当教室では新規の生徒さまに対して、最初に無料カウンセリングを実施しております。
その際によく、「英会話の能力を上達させたいが、何から勉強すれば良いのかが分からない」ということを伺います。
結論として、英会話の初心者さんが最初に取り組むべきことは、何よりも英文法に注力することです。
「英文法か・・・勉強しないとダメなのかな・・・」
「英文法の勉強はつまらないから、会話だけしたいな・・・」
「テキストを買って読み込まないといけないのかな・・・めんどくさいな・・・」
そのように思われた方の気持ちは理解できます。
しかし、英文法を勉強しないと英会話においてさまざまな問題が生じてしまいます。
本ブログでは、英会話における英文法の重要性について解説します。
英文法が分からないとスピーキングができない
スピーキングとは、頭の中で言いたいことを瞬時に英作文して、それを発言する行為です。
英文法の知識がないと、そもそも正しい文構造を作ることができません。
つまり、会話文が不正確になるのです。
いくら英単語や英熟語を知っていても、不正確な文構造で話すと相手に混乱を与えたり、誤解を招いたりします。
例えば、以下は日本語の文章ですが、瞬時に意味を理解できるでしょうか?
「猫が 私が 見た で 庭 昨日 いた 追いかけて 一羽の 蝶々を」
おそらくなんとなく意味は分かるかもしれませんが、確信は持てないでしょう。
ちなみにこの文は、
「The cat that I saw in the garden yesterday was chasing a butterfly.」
という英文を、そのままの語順で日本語に訳したものです。
この英文を、より正確な日本語へ訳すと、
「昨日私が庭で見た猫が一羽の蝶々を追いかけていた」
という文になります。
このように、日本語でいくら単語を知っていても、文構造がめちゃくちゃだと意味が支離滅裂となり、当然相手に伝わりません。
相手とスムーズな意思疎通を図るためには、より正確な文構造を瞬時に作る必要があります。
そのためには、文法の理解が不可欠なのです。
「穴埋め・選択式問題が解ける=英文法を理解している」ではない
よく日本人の英語学習者の中で、英文法の穴埋め問題や選択式問題が得意な方に出会います。
しかし、これらの方々に以下の文章を口頭で英訳させてみると、途端にブレーキがかかるケースがあります。
①彼らは今どこにいますか?
②AからBまで飛行機でどのくらいの時間がかかりますか?
③だんだん暑くなってきましたね…
④この数ヵ月、私ずっと忙しいのです。
⑤それを聞いて驚きました。
⑥まさにそれを言おうとしていました。
⑦ここに日本語を話せる人はいませんか?
何の変哲もない一般的な会話文ですが、いかがでしょうか?
ちなみに各文章には複数の正解があります。
そのどれかに当てはまれば問題ないのですが、たいていの場合沈黙が続きます。
もしこれらの文章を詰まることなく瞬時に訳せるのなら、既に高いレベルにあるため、このブログを特に読む必要はありません。
しかし、これらの文章を訳す際に「あれ、どう言えばいいのだろう…?」と立ち止まってしまった人は読み進めてください。
なお、解けなくても心配はいりません。
というのも、初見で英検®2級や準2級レベルの穴埋め問題がスラスラ解け、その正答率が80%を超える人でも、これらをすぐに訳せる人は少ないからです。
中には惜しい文章を作る方もいますが、何かが欠けていることが多いです。
例えば、関係代名詞を使用した文では先行詞が欠けていたり、現在完了形が現在形になっていたり、前置詞が不足していたりします。
また、副詞や形容詞などの修飾語を増やすと語順が大きく崩れることもあります。
なぜこうなるのかというと、やはり細かいところで文法の理解が不十分だからです。
文法の理解が不十分だと、この他に、
・「~したことがある」という経験を表す際に、現在完了形が咄嗟に出てこない
・「ワクワクしている」「驚いている」「感動した」などの文が受動態にならず、別の意味になる
・「really」や「just」などの副詞を文のどこに置いたら良いか分からず、会話中に混乱する
などの問題も発生します。
これらは中学英文法の範囲内ですが、こうした基礎的な部分での文法の理解が不十分だと、会話文の文意にも影響を及ぼし、正確な意思疎通が難しくなります。
英文法を疎かにしているとリスニングにも影響が…
基本的な英文法を理解していなかったり、知識が曖昧だったりすると、リスニングにも影響が出ます。
3~5単語程度の短文ならなんとなく文意を理解できても、修飾が多くなり8単語以上の長文になると理解が難しくなることがあります。
例えば、よくあるケースは以下の通りです。
・関係代名詞の「that」や「which」が文中に出てきた瞬間に頭がパニックになる
・比較級の「as~as」や「less important than~」、「much cheaper than~」などの文が出ると、「あれ、どういう意味だ?」と頭が混乱する
・「find it~to・・・」や「It is~that・・・」などの「It」を使った構文が出ると訳が分からなくなる
またこれらの他に、例えば「How far」と「How long」の違いが頭の中で整理できておらず、相手の言っていることを誤解してしまうなどのケースもあります。
このように英文法を疎かにすると、会話の流れについていけなくなったり、意味を誤解したりするため、意思疎通に悪影響を及ぼします。
まずは中学で学ぶ英文法から
以上のように、英文法の基礎が理解できていないとスピーキング、リスニングの双方で問題が生じ、円滑な意思疎通が困難になります。
この観点から、英会話の初心者がまず取り組むべきは英文法です。
しかし、英文法には様々な種類があり、何から手を付ければ良いか分からないかもしれません。
まず絶対に取り組んでほしいのは、中学1年から中学3年で学ぶ英文法の復習です。
約80~90種類の英文法を学ぶことになりますが、これらを習得すれば多くの表現をカバーできます。
もちろん、同時に語彙(特に英熟語)も増やしていく必要がありますが、最初は文章の骨組みを形作る英文法に注力すべきです。
英文法の勉強方法としては、テキストを読んで使い方をロジカルに理解した後、その文法を使って実際に何か日本語の文章を口頭で英作文するのが良いでしょう。
例えば文法テキストに書かれている例文の日本語文を、口頭で英作文してみるのです。
これは「瞬間英作文」と呼ばれるメソッドとなります。
なお、当教室もこのメソッドを取り入れて英文法の勉強をしております。
工夫している点としては、各生徒が実際に会話で使えそうな形に文章をカスタマイズして瞬間英作文を行っています。
一般のテキストだと「この表現は果たして会話の中で使うのだろうか?」というような文章が多く、勉強に対するモチベーションが低下してしまう恐れがあります。
少しでも「口にして読んでみたい」という意欲を高めるために、当教室では生徒毎に瞬間英作文の内容を作り変えています。
また当教室の場合、口に出す文章も短めに設定し、例文として頭に定着しやすくしたり、副詞や形容詞などの修飾語がついても語順が崩れないようパターンプラクティスも取り入れています。
さらにフリートークも実施し、その中で実際に勉強した文法を使用し実践力を身につける工夫もしています。
企業のマーケティング用語に騙されてはいけない
以上のことから、英会話における英文法の重要性をご理解いただけたかと思います。
私の経験上、英検®3級に合格するかどうかのレベルの方は、先に述べた80~90種類の英文法を、英検®準2級に合格するかどうかの方は、その中から約60種類の英文法を復習するのが、英会話を確実に習得する上で最短のルートだと考えています。
さて、英会話スクールや教材、英語関連サービスのマーケティング用語としてよく「3ヵ月でペラペラに!」とか「英会話に英文法は必要ない!」、「聞き流すだけで話せるように!」などを目にしたり、耳にしたりします。
私が述べたことをご理解いただけたなら、これらのマーケティング用語がどれだけ非現実的なものなのかお分かりいただけると思います。
初心者の方が80~90種類の英文法をすべて口頭英作文でしっかり言えるようになるまでには、現時点でのレベルにもよりますが、最短でも半年から10ヵ月はかかります。
また、それだけではスラスラ話せるようにはなりません。
口頭英作文の練習である程度「型」はできあがりますが、その「型」に瞬時に他の英単語や英熟語を入れて、どんなシチュエーションでも会話ができるように応用力を磨く必要があります。
そのため、習得には1年以上かかるのが一般的です。
これが英会話を上達させる上での現実的な方法論と期間なのです。
表現や文章を丸暗記するだけでは不十分
「英文法の勉強はつまらないから…」という理由で、文法のレクチャーを無視してフリートークに重きを置く初心者の方もいますが、確実に壁にぶつかることを保証します。
このような方はフリートークで出てきた表現や文章を丸暗記すれば何とかなると思いがちですが、以下の問題に直面します。
・文法を理解せずに丸暗記しているため、暗記した文章をすぐに忘れる
・他の場面で応用がきかない
文法の裏付けがない状態で暗記しても、その文章はすぐに忘れてしまいます。
逆に、文法に基づきロジカルに文構造を理解して暗記した文章は、なかなか忘れません。
また、丸暗記で覚えた文章は同じ表現を使える場面ではスラスラ出てきますが、少し違う状況になると急に戸惑ってしまいます。
例えば、「野球をしたことがある」という文章を丸暗記したとします。
しかし、「その国に訪れたことがある」という別の状況で似た表現を使おうとすると、「どう言えば良いんだろう?」と迷ってしまいます。
この場合、「現在完了形の経験」を理解していれば、すんなり発言できたはずです。
結局、文法を理解していないために応用がきかないのです。
たしかに暗記は語学を習得する上で重要ですが、「理解を伴った暗記」が必要なのです。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このブログでは、英会話の初心者が効率よく英会話の能力を上達させるために何から手を付けるべきかについて説明しました。
結論として、まずは中学1年から中学3年で学ぶ英文法をしっかり学び、それらの文法を使用して様々な英作文を口頭で行うことです。
また単に口頭英作文(瞬間英作文)を行うのみならず、フリートークで実際に使用してみることで応用力を磨くことが可能です。
「3ヵ月でペラペラ」にはなりませんが、正しい方法で時間をかけて勉強すれば、着実に会話力を伸ばすことが可能であり、これこそが効率の良いルートなのです。
当教室では、英文法のレクチャーのみならず、実際に生徒さんが使用しそうなシチュエーションを想定し、学んだ文法を活用できるようにフリートークをアレンジしています。
これにより、文法のロジカルな知識を習得できるだけでなく、実践力も同時に鍛えることができます。
興味がありましたら、ぜひカウンセリングにお問い合わせください。
投稿者プロフィール
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幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は主に対面、オンラインの双方で英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級
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