東南アジアで英語が通じる国について
東南アジアで英語が通じる国というと、どこが思い浮かびますか?
今回の記事では、英語が広く使われている東南アジアの国々をピックアップし、その背景や各国特有の英語の特徴を解説していきます。
目次
シンガポール
シンガポールで英語が通じる理由
シンガポールでは英語が公用語の一つとして制定されており、ほとんどの場面で英語が通じます。
英語教育は幼少期から始まり、学校ではほぼすべての教科が英語で教えられるため、多くの国民が高い英語力を持っています。
1960年代、シンガポール政府は英語を公用語とする政策を導入しました。その背景には、シンガポールが多民族国家であるという事情があります。
シンガポールには主に中華系(華人)、マレー系、インド系(タミル)の3つの民族が共生しています。
各民族にはそれぞれの母語(中国語、マレー語、タミル語)がありますが、これらの言語だけでは異なる民族間の意思疎通が難しくなります。
そこで、異なる民族間の共通言語として英語が採用されました。
この政策により、幼稚園から英語教育が徹底され、すべての子どもが早い段階で英語に触れる環境が整えられました。
シンガポール英語の特徴
シンガポールで話される英語には、アメリカ英語やイギリス英語とは異なる独特のアクセントや言い回しがあります。
このシンガポール特有の英語は、「シングリッシュ(Singlish)」と呼ばれています。
具体的な特徴として、以下の点が挙げられます。
文末に "lah" や "mah" などの助詞をつける
- Don’t worry, lah!
- 心配しないでよ!
- Can do, mah?
- できるでしょ?
主語やbe動詞を省略することがある
- Going to the store.
- I’m going to the store.
- Can or not?
- Is it possible or not?
マレー語や中国語、タミル語などの語彙を借用して混ぜる
- makan - マレー語で「食べる」
- Let’s go makan. - 食事に行こう。
- sotong - マレー語で「イカ」
- Blur like sotong. - ぼんやりする。
アメリカ英語、イギリス英語にはない独特な言い回しがある
- Pattern more than badminton.
- この人言い訳多すぎる。
- Don't so action.
- そんなに見せびらかすなよ。
マレーシア
マレーシアで英語が通じる理由
マレーシアでは英語が準公用語として認められており、主に都市部や観光地で英語が通じます。
小学1年生から英語教育が必修化され、科学や数学などの教科を英語で教える学校もあります。
マレーシアが英語を準公用語として採用している背景には、歴史的な経緯があります。
マレーシアはかつてイギリスの植民地でした。その時代に行政やビジネス、教育の場で英語が使用されており、その影響が現在まで続いています。
またマレーシアも多民族国家であり、マレー系、中華系(華人)、インド系(タミル)と主に3つの民族が共生しています。
そのため異なる民族間の意思疎通を円滑にするために、公用語であるマレー語の他、英語が共通言語として活用されています。
マレーシア英語の特徴
マレーシアで話される英語も、アメリカ英語やイギリス英語とは異なる独特のアクセントや言い回しがあります。
このため、マレーシア英語を「マングリッシュ(Manglish)」と呼ぶ人もいます。
マレーシア英語は、隣国シンガポールの「シングリッシュ」と多くの共通点を持ち、以下の特徴が挙げられます。
文末に "lah" や "mah" などの助詞をつける
- Sure can, lah!
- 絶対できるよ!
- I told you already, mah.
- だから言ったじゃん。
be 動詞や主語を省略することがある
- Sure can.
- もちろんできるよ。
- So expensive!
- かなり高いね!
マレー語や中国語、タミル語などの語彙を借用して混ぜる
- Tapau - 広東語で「持ち帰り」
- Tapau, please. - テイクアウトでお願いします。
- Tahan - マレー語で「耐える」「我慢する」
- Can tahan or not? - 耐えられる?
アメリカ英語、イギリス英語にはない独特な言い回しがある
- Don't play play.
- 冗談じゃない。
- Can die, ah!
- めちゃくちゃ大変だ!
ブルネイ・ダルサラーム
ブルネイで英語が通じる理由
ブルネイの公用語はマレー語(ブルネイ・マレー語)ですが、英語も広く通用します。
これは、同国が採用しているバイリンガル教育政策が大きく関係しています。
学校では英語の授業に加え、科学や数学などの主要科目も英語で教えられています。
こうした英語教育が盛んな背景には、ブルネイが1888年から1984年までイギリスの保護領だった歴史も影響しています。
また英語教育が重要視される理由として、多国籍企業の存在も挙げられます。
同国は石油や天然資源が豊富に採れる国であり、これらを扱う外資系の大手企業が進出しています。
英語を話せることは、これらの企業への就職やキャリア形成において大きな強みとなります。
このような理由から、ブルネイでは英語教育が非常に重要視され、国民も英語の習得に熱心に取り組んでいます。
ブルネイ英語の特徴
ブルネイ英語は、単語の綴りなどイギリス英語の影響を受ける一方で、ブルネイ独自の文化や言語の影響が反映されています。
具体的な特徴として、以下の点が挙げられます:
"th" の音が [t] と発音される
- "three"を"tree"と発音する
- "thousand" を "tousand" と発音する
数えられない名詞を複数形として扱う
- furnitures(家具)
- jewelleries(宝石類)
三人称単数 -s の使用が不規則
- She go to school every day.
- 正:She goes to school every day.
- He say he is tired.
- 正:He says he is tired.
マレー語の語彙を英語に取り入れる
- Tudung - ヘッドスカーフ
- She wears a tudung to school every day. - 彼女は毎日学校にヘッドスカーフを着けて行きます。
- Balik kampung - 故郷に帰る
- We will balik kampung for the holidays. - 私たちは休暇で故郷に帰ります。
フィリピン
フィリピンのマヨン山
フィリピンで英語が通じる理由
フィリピンでは、フィリピノ語(フィリピン語)と共に英語が公用語として認められており、広く使われています。
この背景には、1898年から1946年にかけてのアメリカによる植民地支配が大きく影響しています。
この期間、英語は主要な教育言語として導入され、アメリカ式の教育システムが構築されました。
現在でも、幼稚園から英語教育が始まり、小学校以降の主要科目(数学や科学など)も英語で教えられています。
また、フィリピンは多国籍企業のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の拠点として知られており、コールセンターやITオフショア開発など多くの企業が進出しています。
高い英語力はこれらの企業で働くために必要不可欠であり、フィリピン人の就職機会を広げる大きな強みとなっています。
このような教育環境と経済的な要因が相まって、フィリピンでは英語が広く通じる社会が形成されています。
フィリピン英語の特徴
フィリピン英語は、アメリカ英語の影響を受けつつも、フィリピンの歴史や文化、言語が反映されています。
具体的な特徴として、以下の点が挙げられます:
スペイン語由来の語彙が含まれる
- Barrio - 村
- We visited a small barrio last weekend.
- Merienda - 軽食・おやつ
- Let’s have merienda at 3 PM.
フィリピノ語の語彙を英語に取り入れる
- Sundo - 迎えに行く、送迎
- Can you make him sundo later?
- Barkada - 仲間、友人グループ
- I’m going out with my barkada tonight.
アメリカ英語、イギリス英語にはない独特な言い回しがある
- Comfort room - トイレ
- アメリカでは restroom または bathroom を使用
- Open/close the light - 電気をつける/消す
- 標準英語では turn on/off the light
まとめ
今回紹介したこれらの国々では個人差や地域差はあるものの、英語がある程度通じる国々となります。
各国の歴史や文化、言語が英語表現に大きな影響を与えており、非常に興味深いです。
ぜひ現地を訪れ、アメリカ英語やイギリス英語とは一味違った英語に触れてみてください。
投稿者プロフィール
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幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は主に対面、オンラインの双方で英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級
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