英会話の初心者がカランメソッドについていけない理由
最近、オンライン英会話を利用している方から相談を受ける機会が増えています。
その中でよく耳にするのが、「カランメソッドが難しくてついていけない」というお悩みです。
私自身もカランメソッドを経験したことがありますが、結論として英会話初心者にはあまり向いていないと感じています。
むしろ、初心者にとっては挫折しやすいメソッドではないかと考えています。
一方で、ある程度英語を話せる方が英語力を維持する目的で取り組む場合には、効果的な方法だと感じます。
では、なぜ英会話初心者には向かないのでしょうか?
今回は、初心者の方々がカランメソッドについていけないと感じる主な課題を整理し、その原因と対策について考えてみたいと思います。
目次
瞬時に回答ができない理由
カランメソッドでは、講師の質問に対して素早く英語で回答することが求められます。
しかし、多くの人が単語単位では何とか答えられるものの、文章としてしっかり答えることが難しいと感じています。
この原因としては、主に2つの理由が挙げられます。
英文法や単語の知識が不足している
そもそも、英文法や英単語、英熟語の知識がなければ文章を作ることはできません。
しかしそれを軽視して、いきなりカランメソッドを始める方がいます。当然ながら、そういった場合は挫折する可能性が高くなります。
この状況を例えるなら、建築の知識がないまま家を建てようとするようなものです。
英文法は工法、英単語や英熟語は建築材料にあたります。工法を知らず、材料も不足している状態で、理想の家を建てることができるでしょうか?
こういった観点から、スピーキング力を向上させるには、英文法や英単語、英熟語の知識を必ず身につける必要があります。
これらの基礎があって初めて、英語で文章を作ることができるのです。
知識があっても使いこなせていない
では英文法や英単語、英熟語の知識があれば、瞬時に英文を組み立てられるのでしょうか?
答えは「否」です。
例えば、次の日本語を瞬時に英語へ訳してみてください。
- 熱いお湯が出ないのですが、どうすれば良いですか?
- そこは外国人観光客に人気があります。
- 道が混雑していたので、そこに到着するのに4時間かかりました。
これらの文章は、一見すると難しそうですが、中学で学ぶ英文法で十分に英作文できます。
それにもかかわらず、英検®2級を取得している人でも、これらを瞬時に訳すのは難しいと感じる方が多いです。
文法の穴埋め問題や並び替え問題が得意な人であっても、実際にこれらの文章をパッと英作文するのは簡単ではありません。
このように、たとえ知識があったとしても、「知っている」ことと「使いこなせる」ことの間には大きな差があります。
知識を使いこなすには慣れが必要
では、仕入れた英文法や英単語の知識をどう活かせばよいのでしょうか?
結論として、「慣れ」が圧倒的に重要です。
特に、普段から日本語を英語に訳す訓練を積むことが必要です。
最初は簡単で短い日本語の文章から始めましょう。頭の中で考えてもいいですし、実際に書き出しても構いません。
こうした練習を続けると、「この日本語の表現には、この英語を使おう」という表現のストックが少しずつ増えていきます。
その結果、先ほどのような日本語を目にしても、「この場合はこれを使おう」と瞬時に英語が出てくるようになります。
ただし、自分で訳した文章が正しいかどうかを判断するのは難しいかもしれません。
その場合は、英語に詳しい人やネイティブスピーカーに確認してもらうか、ChatGPTを活用して添削を依頼するのが確実です。
講師の話が聞き取れない
カランメソッドのもう一つの特徴として、講師が英文を素早く2回読み上げるというルールがあります。
このメソッドでは、ゆっくり話すことが許されないため、受講者はその速さに対応しなければなりません。
しかし実際には、「全く聞き取れない」「ついていけない」という声を多く耳にします。
2回読み上げられるとはいえ、そのスピードについていくのが難しいのです。
では、なぜ講師が2回も話した内容を聞き取れないのでしょうか?
ここでは、その原因について考えていきたいと思います。
講師の話した文を読んで理解できるか
まずは、講師の質問を実際に書き出して確認してみましょう。
もし講師がテキストに書かれている内容をそのまま読んでいる場合は、そのテキストを見てみてください。
その英文を読んで、即座に理解できますか?
もし、「これってどういう意味だろう?」と考え込んでしまう場合は、英文法や英単語、英熟語の基礎的な勉強を優先的に行う必要があります。
基礎が不十分だと、当然聞き取りも難しくなります。
一方、英文を読んで内容が理解できる場合は、以下の点が原因ではないか確認してみてください。
英文を前から読んで理解できるか
まず、英文を前から読んで理解できるか確認してみましょう。
日本の学校教育の影響で、英文を後ろから訳そうとするクセがついている人が多くいます。
これを「返り読み」といいますが、この方法ではリスニングの際に英文の意味を前からくみ取ることができず、理解が追いつかないという問題が起こります。
この問題を解決するには、中学生向けのテキストでリーディング練習をするのが効果的です。その際、意識的に前から英文を読む練習をしてください。
考えてみてください。英語圏で育った人たちは英文を後ろから訳すことはありません。私たちが日本語を自然に前から読むのと同じように、英語も前から読み取っています。
この感覚を身につけることができれば、リスニング力も大きく向上します。
リーディング教材を活用し、前から読解する練習を積むことは、リスニング力を伸ばす上で欠かせないステップなのです。
前から読めるのに聞き取れない場合
前から読めるのに、聞き取りがうまくできない場合、講師が発する英語の音と自分が期待している音が一致していない可能性があります。
特によくあるのが、単語の発音を間違えて覚えてしまっているケースです。
例えば、temperature(気温、温度)という単語を「テンペラチュレ」と記憶していると、実際の発音が「テンプラチャー」に近いため、聞き取れないことがあります。
間違った発音を覚えていると、聞き取った音が自分の頭の中で想定している音と異なり、意味を理解できなくなるのです。
そのため、単語を覚える際は、正しい発音ができているかを確認することが重要です。
不安な場合は、音声を聞きながら実際に自分で発音してみる必要があります。
このように、発音の基礎を軽視しないようにしましょう。
また、講師がフィリピン人の場合、独特のアクセントが聞き取りを難しくしている可能性もあります。
この場合は「慣れ」が解決の鍵となります。
フィリピン人と話す機会を増やしたり、YouTubeなどでフィリピン英語を聞く習慣をつけることで、少しずつ耳を慣らしていくことが必要です。
初心者がカランメソッド以前にすべきこと
以上の観点から、英会話初心者にとってまず大切なのは、「基礎の習得」に専念することです。この基礎とは、英文法や英単語、英熟語の知識をしっかりと習得することを指します。
基礎学習の範囲は、中学で学ぶ英文法や英単語でまず十分です。しかし、知識を身につけるだけでなく、スピーキング力を伸ばしたいのであれば、日本語を英語に訳す練習を取り入れることが重要です。
というのもスピーキングとは、頭の中で瞬時に英作文をして発言することだからです。
また、リスニングについては、中学レベルの教材や英検®3級、準2級レベルのリスニング問題を活用し、自分がその内容を聞き取れるか確認してみてください。
もしこれらが聞き取れない場合は、先述した内容に立ち返り、聞き取れない原因を分析してみましょう。
こうした地道なトレーニングを積むことで、英会話に必要な基礎力が磨かれます。
まずは、こうした基礎的な取り組みを重ねることを強くおすすめします。
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投稿者プロフィール
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幼少~高校まで語学に興味はなく、大学時代に一念発起し、英語力に磨きをかける。卒業後、某メーカーの海外営業としてインドネシアに駐在し、東南アジアに位置するメーカーに製品の提案、販売に従事。現在は対面、オンラインの双方にて英語を教えている。カナダと中国に留学経験あり。英語のほか、中国語、インドネシア語も堪能。
資格:TOEIC 970、HSK 6級
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